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■ミャンマーマダウク支線の撮影を終えパゴに向う途中、便意を催した。昨晩の飲み過ぎで朝からお腹の調子が悪く下痢である。沿道はドライブインもなく駅も遠い。とても我慢できそうにない。ガイドは一軒の民家へトイレの交渉に行ってくれた。 |
カイン(仮名) 17歳 学生 |
突然の来客で住人も驚ろいた顔をしている。トイレを借りるのに気が引ける。このあたりの民家は高床式で涼しさは抜群である。トイレは離れにあってここも高床で個室は便器の代わりに渡り板のみ、落下式だから臭さはあまり感じない。真下には中国式と同じ豚が落し物を待っている。 トイレに案内してくれたのが娘のカインさんだった。彼女は無表情でトイレのドアを開けてくれた。ドアはソテツで編んだすだれですき間から外がチラチラ見える。もう恥ずかしいなんていっていられない、早くパンツをおろさないとこの家にも迷惑がかかる。
なんとか無事に用を足し終えドアを開けると目の前に水がめとタオルを持ってカインさんが立っているではないか。エエッ!ずっ〜とここで待っていたのか、この水で手を洗ってこちらへと案内された。 |
僧侶や旅人には必ず温かいおもてなしをするのがミャンマーの人たち。主がせっかくだからとチャイの接待を受ける。ヤカンから甘いチャイを注いでくれるカインさん、頬っぺのタナカ(ミャンマーの化粧)もきまってあどけない笑顔が可愛い。私はまともに顔を見れず気恥ずかしさと恐縮で複雑な気持ちだった。静かな庭ではあの豚どもがまだ騒いでいた。 |
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