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■夏合宿と旧型客車

高校生時代、私は写真部とワンダーフォーゲル部の2つに所属していた。共学校なのでクラブは女子が多く両部の部長を兼ねていた私はこれぞとばかり写真撮影や山登りに精をだしていた。

高2のワンゲル夏合宿のことである。2泊3日の蓼科高原だった。中央線茅野駅から帰京に就く。夏休みの前半とあって午後から松本発、新宿行き電車、急行「アルプス号」は満員である。部員たちも少々疲れ気味、できれば座って帰らせたい。そこで選んだのが臨時列車だった。隣の上諏訪始発だったのでこれだったら座れると思った。


山陰線・鎧駅
やって来たのはEF64に引かれた旧型客車である。私は臨時急行だから冷房が効く当時新製の12系客車だと思っていた。

並んでいた部員たちを見ると「これに乗るの?」とか「暑そぉ〜」さらに疲れ切った表情をしている。みんな車販もある冷房の効いた車両に乗りたかったようだ。せっかくいい合宿だったのに選んだ列車で私の信用も急に下ってしまった。

さすがに中央本線を快走する客車のスピードは速かった。私は内心嬉しかった。車内はガラガラ、窓やドアは開けっ放し、吹き抜ける風が清々しい。バツの悪い私は最後尾のデッキで一人旅愁を楽しんでいた。

みんなのいる車輌に戻ると様子が変わっていた。ほぼ貸し切り状態の車内は大はしゃぎ、開けっぱなしのデッキにたたずみ解放感を楽しんでいる。電車と違い停車時間の合間にホームへ降りては散策、駅弁を購入できるのも旧型客車のいいところ。現金なもので「来年もね!」である。新宿に到着する頃は私の人望もすっかり戻っていた。今では考えられない汽車旅を味わうことができた夏合宿だった。

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